イソ吉草酸(靴下のような匂いの基準物質)を嗅いでみた

| 臭気判定士による体験記

はじめに

匂いの世界には、様々な基準物質が存在します。今回は、その中でも特に印象的な「イソ吉草酸」という物質に挑戦してみました。イソ吉草酸は、足の臭いや靴下の臭いの主成分として知られており、体臭検査や臭気判定の基準物質として使用されています。

イソ吉草酸とは?

イソ吉草酸(3-メチルブタン酸)は、化学式C5H10O2で表される短鎖脂肪酸の一種です。主な特徴は以下の通りです:

  • 分子量: 102.13 g/mol
  • 沸点: 176-177°C
  • 外観: 無色〜淡黄色の液体
  • 臭気閾値: 約0.078 ppb(非常に低濃度で感知可能)

人間の足の皮膚常在菌が汗に含まれるアミノ酸を分解することで生成され、いわゆる「足の臭い」の主要成分となっています。

実験に使用した試薬

イソ吉草酸の試料ビン

実験に使用したイソ吉草酸の試料ビン(第一薬品産業株式会社様、5ml、緑色のキャップ)

イソ吉草酸の試薬

試薬の様子。無色透明の液体として保存されています

実際に嗅いでみた体験

第一印象

瓶の蓋を開けた瞬間、まさに「これだ!」という感覚に襲われました。確かに靴下の臭い、それも運動後の湿った靴下の臭いそのものです。また、納豆のような臭いも感じることができました。

詳細な臭いの分析

  1. 初期の印象
    • 納豆のような発酵臭
    • 汗臭さの中核となる匂い
  2. 時間経過による変化
    • 最初の10秒:強烈な刺激臭
    • 30秒後:鼻が慣れ始めるが、依然として不快
    • 1分後:後味のような酸味が残る
  3. 濃度による違い
    • 高濃度:吐き気を催すレベルの刺激臭
    • 中濃度:典型的な足の臭い
    • 低濃度:わずかに納豆のような香り

まとめ

イソ吉草酸を実際に嗅いでみることで、「足の臭い」というものが単一の化学物質によって再現できることに驚きました。この体験は、日常的に感じる不快な臭いが、実は特定の化学物質によるものであり、科学的にアプローチすることで効果的に対処できることを教えてくれました。

臭いの科学は奥が深く、私たちの生活の質を向上させる重要な分野です。今回の体験を通じて、臭いに対する理解が深まり、より効果的な対策を考えるきっかけになりました。

注意:この実験は適切な安全対策のもとで行いました。化学物質を扱う際は、必ず適切な知識と設備のもとで行ってください。

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